研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 社会科学総合学術院 社会科学部 | 講師 | 益子 智之 |
- 研究成果概要
本研究では、第一に、歴史都市の再生を基盤としながら持続可能な地域づくりを推進するための実践的教育論の学際的な分析と考察を行った。早稲田大学建築学科佐藤滋研究室とフェッラーラ大学パオロ・チェッカレッリ氏のグループの間で取り組まれてきた実践的な国際都市デザインワークショップをケーススタディとし、まず、チェッカレッリ氏の論文やエッセイ、講演録等の文献資料をレビューし、30年以上にわたる教育・研究交流の全体像を明らかにした。特筆すべき点は、チェッカレッリ氏の独自のプランニング理論の一端を明らかにしたことであり、主たる主張は次の2つに集約できた。
1)地域固有の文化を軸にプランニングの戦略を考えることの重要性。大学により提供される教育プログラムは、地域の文脈を読み・理解する現場での原体験を提供し、プランニングに関わる人間としての素養と人的資本を育める
2)西洋で築かれた都市モデルやプランニングモデルを他の文化圏に適応させるのではなく、それぞれの文化圏で生まれたローカルモデルを互いに闘わせることで、新たな解決策が生み出される。
第二に、ILAUD(チェッカレッリ氏が代表を務める学術・専門家団体)が出版するILAUD Working Papers No.4の企画とジャパンチャプターの編集に携わった。干ばつや洪水、地震からの都市プランニングをテーマとした同書籍では、日本とイタリアのみならず、ブラジルとドイツの先進事例も紹介される。申請者は、これまでのイタリア歴史的市街地における震災復興手法に関する研究成果を元に、日本とイタリアの復興都市プランニングの比較論考を取りまとめると共に、新宿区戸塚地区とフェッラーラ歴史地区の事前復興プログラムの比較を試みた。以上の研究成果は近日中にILAUDのHP上で公開予定である。