研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 社会科学総合学術院 社会科学部 | 教授 | 黒田 智 |
- 研究成果概要
本研究では、3つのプロジェクトを遂行した。
第1に、群馬県中之条町赤岩地区の古文書・文化財調査である。重伝建に指定された同地区に残る手つかずの古文書類の悉皆調査をめざし、3・6月に地区内の各家で予備調査を実施した。このうち関駒三郎家文書の調査と史料目録作成に着手し、①9月11~13日、②12月7~9日、③3月9~11日の3回実施した。調査には、長瀬有輝(中之条町歴史と民俗の博物館ミュゼ学芸員)のご協力をいただき、長谷川裕子(跡見女子大)、野口華世(前橋国際大)、西尾知巳(関東学院大)、高橋傑(慶応義塾高校教諭)、梁瀬大輔(群馬県立女子大)、吉岡由哲(東京国立博物館)のほか、早稲田大学大学院文学研究科院生、中央大学大学院生、早稲田大学社会科学部日本文化史ゼミ学部生、前橋国際大学学部生にもご参加をいただいた。現在、同家文書の3分の2に相当する800点ほどの写真撮影・目録作成を終え、次年度も継続する予定である。
第2に、福井県あわら市神宮寺城跡の中世石造物調査である。23年度の調査は雨天により延期し、10月12~14日に調査を実施できた。九千房英之(あわら市郷土歴史資料館館長)との協同にて、吉岡由哲(東京国立博物館)、林亮太(石川県立歴史博物館)、岡野有里香(前田土佐守家資料館)、鈴木彩可(石川県立美術館)、多田明加(一乗谷朝倉氏遺跡資料館)、長谷川裕子(跡見女子大)、野口華世(前橋国際大)のほか、早稲田大学・金沢大学の院生・学部生をふくむ総勢40名とともに野外での計測・撮影・目録作成おこなった。調査では、中世前期にさかのぼる五輪塔をふくむ数百点の中世石像遺物の残欠が新たに確認され、『福井新聞』『県民福井』の新聞各紙で報じられた。
第3に、同あわら市願慶寺の史料・文化財調査である。中世吉崎御坊跡に立つ願慶寺については、すでに前科研・特定課題研究で700点余の文化財・史料群を調査済みである。10月に未調査分の補充調査を実施し、8~12月までかけて院生・学部生を中心にこれらの史料目録を整理して、あわら市に提出した。今年度中にあわら市において一括文化財指定のための審議等が行われるとのことで、指定後に史料目録の公開を進める予定である。