表題番号:2024C-532
日付:2025/02/04
研究課題株式市場における二酸化炭素排出量リスクの分析
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 社会科学総合学術院 社会科学部 | 教授 | 北村 能寛 |
- 研究成果概要
Refinitiv ESGスコアに基づき、東京証券取引所1部上場企業をGreen(ESGスコア上位25%)とBrown(下位25%)に分割し、各企業の株価年次リターンを計算しそれぞれのグループ内での単純平均を計算したEGSポートフォリオを作成した。EGSスコアは年次ベースで変化するため、それぞれのポートフォリオは年次ベースで再構築される。そして、Brownポートフォリオ収益率マイナスGreenポートフォリオ収益率を各年で計算した。これは、Brownポートフォリオの買い(ロング)Greenポートフォリオ(ショート)のESGゼロコスト・ポートフォリオとして定義される。ここで金融市場がESG要因をリスクとして認識しているのであれば、将来の環境規制により経済活動が制限されるなどBrownポートフォリオはESGリスクにさらされているので、そのリスクを反映した正のリスクプレミアムの結果、期待収益率は高くなる。一方でGreenポートフォリオはESGリスクからは比較的フリーであると考えられ、その分ESGリスクに対する保険的意味合いから負のリスクプレミアムを反映すると考えられる。以上を考慮すれば、ESGゼロコスト・ポートフォリオの収益率は時系列的に見て正であると考えうる(ESGリスクプレミアム仮説)。実際のデータを検証したところ、累積リターンの意味でESGゼロコスト・ポートフォリオリターンは正の値を示すものであり、日本の株式市場におけるESGリスクプレミアム仮説を支持するものであった。