表題番号:2024C-528 日付:2025/04/04
研究課題電源開発の社会的影響3
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 教授 浜本 篤史
研究成果概要
本研究では前々年度、前年度に引き続き、戦後日本における電源開発の歴史を掘り下げるために、福井県奥越地方の九頭竜ダムを対象とした。2024年度は主に福井県文書館に所蔵されている行政資料から事業実施過程の裏付け作業をおこなった。個人情報保護の観点から資料公開の可否確認に時間を要しており、部分的な収集・確認にとどまったが、三国町への移住案、漁業組合への補償、残存集落の取り扱い、いわゆる補償金目当てといわれた「新戸」への対応など従来は十分に把握できていなかった側面を深めることができた。また2024年度は新たに御母衣ダムも検討対象とした。これは、九頭竜ダムより時代的には一つ前の事業に位置付けられる御母衣ダムとの連続性について検討する意図によるものであり、事業予定地だった荘川村における補償交渉の動向など、当時を知る方々からヒアリングをおこなうことができた。また、白川村の合掌造り家屋がダム建設にともない名古屋市へ移改築されたケースを辿り、当時の背景事情とともに文化財の保存・活用と記憶継承についての関連性も考察した。今後もひとつずつ地道な把握を続けたい。