表題番号:2024C-527
日付:2025/04/01
研究課題現代米国における急進的歴史家のライフヒストリー ―北米における活動的知識人の系譜として―
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 社会科学総合学術院 社会科学部 | 教授 | 篠田 徹 |
- 研究成果概要
- 今年度は引き続き元マサチューセッツ大学ボストン校の労働史研究者で活動的学匠であった故ジェームズ・グリーン教授とマカレスタ大学の労働者研究者で現役の活動的学匠であるピーター・ラクレフ元教授の研究歴と活動歴を学ぶことで、一九八〇年代以降の米国のラディカル・ヒストリアンのライフヒストリーの叙述方法を考究した。また今年度は、米国で学術書と一般書の間に位置する歴史書での労働運動や労働史の記述や叙述のスタイルやディスコースのパターンなどを検討し、現在のありようがいつ頃から形成され、それに対するラディカル・ヒストリアン達の貢献や影響を考えた。その結果、現代の労働関係の歴史書には、その淵源がラディカル・ヒストリアンを輩出したニュー・レーバー・ヒストリーにあることが明らかになり、現代米国のレーバー・ディスコースに対するラディカル・ヒストリアン達の貢献と影響を確認することができた。今後は、このラディカル・ヒストリアン達を、「記憶のオルガナイザー」として労働運動の一翼に位置づけ、それと米国の歴史家における活動的学匠の伝統を交叉させることで、米国の知識人史と労働史、社会史の接合をめざす。なお以上の研究成果は逐次、今後発刊予定の米国労働運動史やポピュラー・カルチャーの歴史に関する著述に反映させていく予定である。