表題番号:2024C-519
日付:2025/04/03
研究課題18世紀フランスにおける海産物商品の取引ーモンペリエの卸売商の事例からー
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 社会科学総合学術院 社会科学部 | 教授 | 君塚 弘恭 |
- 研究成果概要
- 本研究は、18世紀フランスにおける海産物商品の流通について理解を深めることを目的とし、特にラングドック地方で「貧民の食べ物」とされた塩漬けイワシの流通を地方都市モンペリエで担った卸売商の活動を調査するものである。 申請者は、まず資料の事前調査の一環として、先行研究を調査した。ラングドック地方の内陸都市における海産物流通の研究はかなり少なく、次の論文を見つけるにとどまった。Christine Dousset, « Femmes et négoce à Toulouse dans la seconde moitié du XVIIIe siècle », Annales du Midi, Année 2006, pp. 31-50. この論文によれば、ラングドック地方の中枢都市トゥールーズの卸売商フォンタニルは、ボルドーに移住して事業を行っていた親族と会社契約を結んでボルドーとトゥールーズを結ぶ商業を展開していた。ボルドーで活動していたフォンタニルは、北大西洋のタラ漁にも出資していて、海産物を積極的に扱う商人だった。トゥールーズの卸売商は大西洋沿岸の海港都市ボルドーの貿易商人とのネットワークとガロンヌ河やミディ運河の水運を利用して海産物の商取引を行っていたことがわかった。 また、申請者は、モンペリエにあるエロー県文書館のウェブサイトを利用して、史料の所在について調査を試みた。ウェブサイトで検索可能な史料目録には、商人文書の詳細がないので、モンペリエで海産物を扱った卸売商人がどれくらいいたか、詳しく調べるのは現地に行かないとわからない。しかし、モンペリエ商業会議所の史料については詳細な説明があり、スペインで買い付けられてボーケールの大市で販売された塩漬けイワシについて商業会議所で問題にされたこと、また、モンペリエの卸売商人も塩漬けイワシの商取引に関心を持っていたことがわかった。 2025年3月に予定していたモンペリエでの資料調査は、2025年2月に申請者が不慮の落下事故により数ヶ月の治療を必要とする怪我を負ったため中止を余儀なくされた。治療終了後に、改めて調査計画を立てて、実行するものとしたい。