表題番号:2024C-511
日付:2025/03/26
研究課題腫瘍組織のRNA-seqデコンボリューション解析による担癌モデルの基盤情報の構築
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 大学院情報生産システム研究科 | 教授 | 高橋 淳子 |
- 研究成果概要
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がん治療研究における担癌動物モデルの腫瘍組織の“がん細胞と微小環境構成細胞”の情報を同時に提供する簡便な評価手法の開発し、微小環境のデータを蓄積することにより、異なる担癌モデルの微小環境状態の違いを把握し、担癌動物モデルに関する理解を深めることはがん研究において非常に重要である。微小環境構成細胞の網羅的評価方法は、個々の細胞の遺伝子発現を解析するsingle cell RNA sequencing(scRNA-seq)があるが、細胞捕捉技術は安定していなく、たいへん高価であり、結果の分析は非常に複雑である。一方、腫瘍組織のRNAを一括して解析を行う、通常のRNA-seq = バルクRNA-seqはDNAマイクロアレイ解析より安価となり、日常の解析での使用頻度が高まりつつあるが、通常はがん細胞の遺伝子発現情報のみの解析に終始している。そこで、バルクRNA-seqの遺伝子配列情報から、がん細胞と微小環境の情報を同時に提供する “デコンボリューションRNA-seq解析法”開発を目指すこととした。その為に先ず、大腸腺がん、肝臓がん、肉腫、膵臓がんのヒトがん細胞由来Cell line を持ちた担癌マウスを作成し、摘出した腫瘍のRNA-seq解析を行いマウスとヒトの遺伝子比率を算出した。これにより微小環境由来とがん細胞由来の存在比率の推定が可能となり、Cell lineの種類によってがん細胞由来比率が20%から60%と大きく異なることを確認した。現在は、RNA-seqデータのデコンボリューションプログラムの作成と評価を実施中である。