表題番号:2024C-501 日付:2025/03/14
研究課題DNA二本鎖切断に応答するpraja1の神経細胞における生理学的な意義の解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 大学院先進理工学研究科 助教 小野寺 航
(連携研究者) 先進理工学研究科 博士後期課程学生 川﨑晃太郎
(連携研究者) 先進理工学研究科 修士課程学生 大山千聖
(連携研究者) 理工学術院 教授 朝日透
研究成果概要
 E3ユビキチンリガーゼPraja1は, 他タンパク質のユビキチン化を介して細胞内のタンパク質分解を司る酵素である. Praja1の変異は日本人集団において先天的な神経疾患の発症に関わることからも, その分子機能の解明は重要である. これまで, 当研究室のプロテオミクス解析により, Praja1がDNA損傷を抑制することが示されていたが, 具体的な分子基盤は不明であった.
 そこで, ヒト神経系不死化細胞からPraja1をノックダウン/過剰発現した状態で, DNA損傷試薬に対するDNA損傷量/細胞死を調べたところ, Praja1は細胞をDNA損傷から保護する機能を有することがわかった. 更に精製したPraja1が直接的にDNAと結合することがゲルシフトアッセイより示唆されたため, Praja1はDNAを物理的に保護することでDNA損傷を予防している可能性が浮上した. Praja1-DNA相互作用の理解に当たり, Praja1の荷電状態を調べたところ, DNAと相互作用しうる正に帯電したアミノ酸はPraja1のN末端側に集中していた. この解析結果に基づいて, 今後は該当領域のDNA相互作用に対する機能を調べる. 発展的には, Praja1のDNA保護材的機能を放射線治療の副作用 (= 正常細胞の予期せぬDNA損傷) に活用すべく, Praja1導入細胞へのUV/X線照射を評価する予定である. Praja1とDNAの相互作用を初めて見出した本研究の成果は, 日本生化学会・日本分子生物学会にて発表した.