表題番号:2024C-499 日付:2025/03/14
研究課題非線形ダイナミクスによるパターン形成のモデリングと解析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 大学院先進理工学研究科 講師 多賀 圭理
(連携研究者) 早稲田大学 教授 山崎義弘
(連携研究者) 東京科学大学 教授 中尾裕也
(連携研究者) 広島大学 教授 戸田昭彦
研究成果概要
身の周りにはさまざまなパターンが表れる現象が多く存在する.本研究では,そのようなパターン形成を示す現象の数理モデルの解析を行った.得られた成果は適宜学会等で発表した,

1.粘着テープの剥がし跡について
粘着テープをはがす際,そのはがし跡にフラクタル的な興味深いパターンが表れることが知られている.また,剥がす速度を変化させることで,剥がし跡の性質が変化するという相転移的な性質が見られることも知られている.本研究では,そのパターン形成のメカニズムや性質を数理モデルを構築し,解析することで探索することを目的としている.
本年度は[Taga and Yamazaki 2023]において提案したテープはがしモデルの数理的性質についての研究を行い,新たにテープの剥がし跡が有向パーコレーション普遍クラスに含まれる可能性を見出した.研究成果については,国際学会IUTAM Symposiumのプロシーディング1本,statphysなどの国際研究会3回,国内研究会1回で発表した.

2. ECAのKoopman解析について
エレメンタリーセルオートマトン(ECA)は,1次元格子上に2値の状態をとるセルが並んだオートマトンの一種である.その時間発展ルールはシンプルながら,カオスを含む複雑なダイナミクスを示す.Koopman解析は,近年盛んに研究が進められている時間発展系の解析手法であり,システムの時間発展変数の代わりにその観測関数の時間発展を調べることで,非線形なシステムをも線形手法を用いて解析することを可能とする.これまでの研究成果は適宜論文等で発表しているが,本年度は国際研究会WIVACE2024において,この成果を発表した.