表題番号:2024C-489
日付:2025/03/27
研究課題ALK陽性非小細胞肺がんの骨転移機構の解析
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 仙波 憲太郎 |
- 研究成果概要
- 【研究背景・目的】肺がんは早期発見が難しく、悪性度の高いがん種である。肺がんは主に脳や骨に転移し、予後を悪化させる。特に骨転移は病的骨折等により患者QOLを低下させる重要な治療課題である。当研究室ではALK陽性肺がん細胞株を免疫不全マウスの尾動脈から注射することで、高骨転移株の樹立を行ってきた。結果として、SNU-2563細胞を、著しく高い骨転移能を示す細胞株として同定した。本研究ではこの細胞株の細胞特性や遺伝子発現に関する解析を行い、骨転移に関わる責任遺伝子の候補を見出すことを目的とした。【研究成果】1. SNU-2563のin vitro破骨細胞分化誘導能評価ALK陽性肺がん細胞株4種類(NCI-H2228、NCI-H3122、SNU-2550、SNU-2563)とマウスの骨髄から採取した細胞を共培養し、TRAP染色を行うことで、各がん細胞株の破骨細胞分化誘導能を評価した。結果として、SNU-2563と共培養したマウス骨髄細胞は、他の細胞株との共培養条件下と比較してより多くの細胞が破骨細胞様のTRAP陽性細胞となった。2. SNU-2563で高発現する遺伝子の探索1.の実験と同様の細胞株のRNAシークエンスを行った。SNU-2563で発現の高い遺伝子を抽出し、エンリッチメント解析を行った。その結果、骨代謝に関連するステロイドの生合成プロセスを調節する遺伝子が濃縮されていた。この遺伝子セットの中には、TNFなどの分泌因子が含まれていた。【今後の展望】SNU-2563において分泌因子遺伝子のノックダウンを行い、マウスへの移植による骨転移能評価、TRAPアッセイによる破骨細胞分化誘導能評価を行う。また他のALK陽性肺がん細胞株でこれらの遺伝子の過剰発現を行い、同様の機能解析を行う。