表題番号:2024C-478
日付:2025/04/02
研究課題最先端観測と理論モデルから描く遠方銀河の形成進化
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 講師 | 菅原 悠馬 |
(連携研究者) | 早稲田大学 | 教授 | 井上昭雄 |
(連携研究者) | 早稲田大学 | 次席研究員 | 馬渡健 |
(連携研究者) | 早稲田大学 | 大学院生 | 任毅 |
- 研究成果概要
- 本研究ではジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を使った観測プロジェクトRIOJAの一環として、撮像観測装置NIRCamを用いた赤方偏移z~7に存在する衝突合体銀河の研究を行った。サブミリ波で世界最高感度を持つアルマ望遠鏡のデータと組み合わせることで、この銀河が衝突合体によって乱された複雑な形態を持つことに加え、銀河中心部でコンパクトな爆発的星形成を生じていることを示した。この爆発的星形成は、衝突に伴って銀河周辺部から銀河の中心部に星形成のもととなるガスが流れこんだことにより生じたと考察している。この成果を2024年度、Astrophysical Jounal誌で出版し、国際研究会を含む多数の研究会で報告した。さらにこうしたプロジェクトを推進するために、共同研究者で研究・勉強会を開催し、JWSTとALMAを用いた将来的なプロポーザルについて検討した。SPHINX20宇宙論的シミュレーションで計算されたライマンアルファ(Lya)輝線で明るい20個の銀河に対して、今年度はLya輝線輻射輸送計算を行った。銀河周辺物質の広がりと、観測可能な銀河周辺のLya輝線の広がりとの間の相関関係を調べるための準備を整えた。宇宙科学研究所で開催されたワークショップに参加し、光電離モデルCLoudyについての内部の詳細な物理について、開発者を交えて議論した。モデルについての理解を深め、次年度以降の銀河の星間物質についての統計モデリングを準備した。現在は銀河の可視光スペクトルに対して輝線フィッティングをするためのプログラムを開発している。今後JWSTの面分光データを用いた銀河の詳細観測データや、2025年に観測を開始したすばる望遠鏡の多天体分光装置PFSの観測データにも適用し、銀河の星間物質についての情報を引き出す予定である。