表題番号:2024C-465 日付:2025/04/02
研究課題運転中の足の動きと事故率の関連性分析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 助教 林 弘昭
研究成果概要

本研究では、運転中の足の動きと事故率の関連性を明らかにすることを目的として、トラック運転者を対象に分析を行った。使用した映像は、外光の影響を受けにくい深度カメラによって撮影された。まず、足の三つの関節(前足、くるぶし、踵)を定義し、骨格推定モデルHRNetをファインチューニングすることで関節追跡を行った。その精度はPCK@0.589.7%を達成した。次に、映像を目視で確認した結果、良いとされる「踵をブレーキペダル前に固定する」動きに対し、「踵をアクセルペダル前に固定する」など、3種類の良くないと思われる足の動きが確認された。これらは、踏み間違いや急制動への遅れを引き起こす可能性があると考えられる。次に、HRNetを用いて各運転者に対して悪い動きの有無を検知し、それと過去に起こした事故件数の間にポイント・ビスリアル相関を用いて分析したが、有意な相関は確認されなかった。これは、事故の要因が注意力や環境、視線行動など多岐にわたるため、足の動き単体では関連性を捉えきれないためと考えられる。一方で、「良くない足の動き」同士の間に、フィッシャーの正確検定を用いて相関分析を行ったところ、有意な相関が見られた。すなわち、足の動きが良い運転者は一貫して良好な動きを保つ傾向があり、逆に一つでも悪い動きが確認された運転者は、他の場面においても足の姿勢が様々な形で乱れる傾向がある。これらの運転者は、身体の安定性や操作感覚に不確かさがあり、緊急時や疲労時における操作ミスや反応遅れを引き起こしやすい可能性がある。