表題番号:2024C-464
日付:2025/03/31
研究課題機器インターフェースの高精度化に関する実証
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 創造理工学部 | 教授 | 石村 康生 |
- 研究成果概要
- 大気球や宇宙機における地球および天体観測においては,観測機器の高精度なアライメントが重要である.一方で,機器の取り付け部の熱膨張係数のミスマッチや温度差によるバイメタル変形は,これらのアライメントを悪化させる主要因の一つであり,解決が望まれる課題である.そこで,我々の研究グループでは,この取り付け部の熱応力を緩和し,観測機器のアライメントを維持できる応力緩和機構を研究開発している.本研究では,この応力緩和機構を,高精度変位計測装置の取り付けインターフェースに適用し,2024 年 8 月 3 日に実施された大気球実験(DREAM3)によって性能を評価した.DREAM3では,応力緩和機構ありと無しの2式の変位計測装置を搭載した.光学系は,大気球飛翔環境での実証とするため曝露し,データロガー等が搭載された気密容器やバッテリなどは,スタイロフォームによる保温材の中に配置した.
今回は,変位計測装置のインターフェースにおけるバイメタル変形の緩和の実証が目的であるため,計測できないゴンドラ構造の変形が変位計測装置に与える影響を排除することが望ましい.そこで,さらにゴンドラに直接取り付くベースプレートと変位計測装置のミドルプレートとの間にも,熱応力機構 を配置した.また,変位計測への太陽光の影響を排除すると同時にレーザに関する安全上の観点から,変位計測装置を遮光板で覆った.1 時間 36 分にわたる飛翔の間,大気球飛翔環境下において本変位計測装置が正常に機能すること,応力緩和機構によって,面外方向のアライメント変動を約 1/10 以下に低減できることが確かめられた.ただし,解析予測と実機計測結果に対しては,非対称変形も含めて100µmオーダーの差異が存在し,今後さらなる検証が必要である.