表題番号:2024C-463 日付:2025/04/14
研究課題バイオロギングを目的とした海洋生物に付着するロボットの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 教授 石井 裕之
研究成果概要
近年,野生動物にセンサとデータロガーを装着し,その動物の生態や生息環境を長期的に記録し,その解析を通して野生動物の理解を目指すバイオロギングと呼ばれる調査手法が注目を集めている.バイオロギングは海洋動物など人間による直接的な観察が難しい環境に生息する動物の調査手法として極めて有効であるが,バイオロギングのためのデバイスを調査対象となる野生動物へ取り付けるのに大きな困難を伴う.特に,人間への警戒心が強い生物や,そもそも捕獲が難しい動物などのバイオロギングを行うことは非常に難しい.そこで本研究の最終的な目的は,対象動物を捕獲することなく自力で海洋動物に付着してバイオロギングを行うロボットの開発とする.
本研究では,体が大きく頑丈であり,比較的行動が穏やかなアオウミガメを対象動物とし,吸盤を用いてアオウミガメの甲羅に付着することが可能なロボットの開発に取り組んだ.ウミガメの甲羅は曲面であり平坦な部分が少ないため,単体の吸盤ではなく吸盤アレイ機構によって付着する事とする.吸盤アレイ機構を開発するためには水中でウミガメの甲羅に付着可能な吸盤が必要である.
そこで本年度は,前年度に開発したウミガメの甲羅への吸着を目的とした吸盤アレイの改良に取り組んだ.具体的には,シリンジポンプの駆動機構の改良,各部の防水性能の強化,センサを用いた自己状態推定機能の付加に取り組んだ.また開発した吸盤アレイを評価する実験装置を新たに開発した.改良した吸盤アレイと実験装置による実験を行い,改良によって吸盤アレイの性能が向上していることを確認した.