表題番号:2024C-460 日付:2025/03/10
研究課題機械学習モデルに基づくECマーケティング施策の効果検証に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 助手 阪井 優太
(連携研究者) 早稲田大学 教授 後藤正幸
(連携研究者) 東京都市大学 准教授 三川健太
研究成果概要

近年多くのユーザを抱えるECサイトを運営する企業では,様々なビジネス施策を講じている。そのビジネス施策を講じた過去の観察データを用いて施策の効果検証を行う統計的因果推論が盛んに活用されてきている。しかしながら,一般的な因果推論で扱う施策効果の推定においては単一の施策効果に着目し推定するものであるが,実応用上では複数の施策の効果を考慮し類似した特徴を持つユーザ群やユーザごとに推定することが好ましい。そこで本研究では,複数の施策を考慮しユーザごとに施策効果を推定可能なモデルを提案した。本研究において,実際のECサイトにおけるメール施策をおこなった観察データを用いて効果推定及び分析をおこなう。このメール施策には,施策を講じるために必要なコストが小さいのでユーザに対して高い頻度で送付されることや,プロモーション施策をおこないたい部署ごとに多様な種類のメールが混在しているといった特徴が存在する。このとき大量のメールが及ぼすユーザのメール開封への影響を分析するモデルを提案した。この研究により,メール施策はユーザの直近の開封行動以外に1週間や1か月前に送信した数が,メール開封率に影響を示すことがわかった。これにより,ユーザ行動に左右されない中でもメールの数量をコントロールする重要性を示した。

この研究成果を日本計算機統計学会第38回シンポジウムで発表した。

また,多様なカテゴリを持つデータにおける分析手法の提案もおこなった。この手法では様々なカテゴリのデータを低次元空間に縮約し可視化することで,カテゴリ間の類似性を視覚的に評価することをおこなっている。これはメール施策をはじめとしたユーザなどの属性情報をカテゴリとしてみなすことで,過去の行動特徴量をカテゴリ単位で可視化することができ,嗜好の多様性を理解するための一助となると考えられる。この研究成果をANQ Congress 2024で発表した。