表題番号:2024C-455
日付:2025/04/04
研究課題人口減少社会における韓国の都市型韓屋の有効性
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 創造理工学部 | 助手 | 泉川 時 |
- 研究成果概要
韓国の伝統的な住居「韓屋」は2000年頃から保存・活用の取り組みが盛んになってきた。特に2007 年に「韓スタイル育成総合計画」が定められると、国策で韓屋の技術開発・支援制度が拡充されるようになった。さらに新築の韓屋の技術が体系化されると、新築韓屋村が造成されるようになった。本研究では、新築韓屋村の最大戸数の事例である恩平韓屋村の事例調査を進め、急速な人口減少社会に対応する新築の木造住宅街の可能性を模索する。恩平韓屋村には約100軒の韓屋が造成されており、9割ほどが住宅だがヌマルと呼ばれる高床空間をゲストハウスとして貸し出している事例も散見される。現地調査の結果、伝統的な韓屋にはない地下階をつくり、ソファを構えたリビングのような現代の生活に適する空間をつくっていた。設計にはそれぞれの施主の好みもよく反映されており、一つひとつの意匠や工夫に違いがみられた。このように伝統建築であっても画一的なつくりにならず、個々のライフスタイルに合わせているけれど、統一性のある景観がみられた。
また、これらを実現させるために、技術者の育成にも力を入れており、韓屋開発センターの設置やソウル優秀韓屋認証制などを導入し、質を担保している。その上で、大量生産に向かうのではなく、様式を守りながら可変性を持てる新規韓屋には、住宅市場のインフレを防ぎ、中量生産による国家ブランドの確立の可能性が示唆された。