表題番号:2024C-454
日付:2025/04/04
研究課題建物のホールライフカーボンに関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 創造理工学部 | 助教 | 新藤 幹 |
- 研究成果概要
地球温暖化対策として世界の温室効果ガスの約3分の1を排出する建築分野の脱炭素化が急務とされている。これまで、建物竣工後の運用時における二酸化炭素排出量(オペレーショナル・カーボン)削減対策が、省エネルギー対策や再生可能エネルギー利用により促進されてきた。しかしながら、脱炭素社会を実現するためには、運用時だけでなく資材製造・施工・使用・解体段階まで含めたライフサイクル全体での二酸化炭素排出量(ホールライフカーボン)の削減が喫緊の課題となっている。建築物の脱炭素化に向けてオペレーショナルカーボンを削減する際には、新築に加えて既存建築物の省エネルギー改修が重要である。また、建築資材由来のエンボディドカーボンを削減する際には、既存建築物の建て替えまたは改修によって削減量が大きく変わってくる。さらに、火力発電の高効率化や再生可能エネルギーの普及による系統電力の二酸化炭素排出係数の低下についても考慮していく必要がある。近年、
建物のホールライフカーボン算定は、近年の世界的な脱炭素化の潮流や建築分野以外の金融機関・不動産分野からの開示要望によって、国内外で事例が増えつつある。一方で建築躯体や外装といった部分に焦点を当てたものが多く、建築設備に注目した事例はまだまだ少ない。本年度は特に放射冷暖房に関するホールライフカーボンに取り組んでいる。ISO21930: 2017のライフサイクル境界を参考にすると、放射冷暖房システムを導入した際の二酸化炭素排出量のインパクトが大きい部分はA1-A3: 資材製造段階、B1: 使用、B6: 運用時の消費に分類される。それぞれの影響について、実際の建物を対象としてホールライフカーボン算定を行い、現在論文執筆中である。一部、成果を2024年9月 日本建築学会大会論文としてとりまとめた。