研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 創造理工学部 | 講師 | 小松 萌 |
- 研究成果概要
本研究では、国内外のコミュニティガーデンの事例を対象に、現地調査および衛星画像の分析によって「用途」「設備・設置物」「植栽」「地面の状態」を明らかにすることでコミュニティガーデンの空間構成の実態を把握した。本研究ではまず、国内におけるコミュニティガーデン事例の収集と整理を行い、また、国外においてはトリノ、ロンドン、バルセロナに立地する特徴的な3つの事例を取り上げた。
国内事例についてはいくつかの事例において、作物を栽培する以外の用途として、庭や利用者が集まって昼食を食べるための東屋、イベント開催時等に利用する簡易的な屋内スペースが見られたほか、アート作品を設置することで利用者や訪問者、近隣住民にとってより魅力的な空間を創出していることを確認することができた。また、土だけでなく、部分的に地面にアスファルトを用いることで、イベント時の出店など様々な活動に対応できるよう工夫が見られた。
一方、国外事例については、国内事例と比較してより多くの用途が混在していることが確認できた。特に、3つ全ての事例で作物を栽培することと動物との触れ合いを組み合わせており、特徴的な点であると言える。また、トリノの事例では、区画分けされたスペースの規模が比較的大きく、その中で、利用者が自由に作物を栽培するスペースや家具などをレイアウトできるようになっていた。利用者が各自で好きなものを持ち込んでいるため、区画によってその様相は大きく異なっており、自宅のリビングスペースを拡張させた場としてコミュニティガーデンを利用していることが特徴的であり、コミュニティガーデンの計画手法の構築に向けて重要な知見を得ることができた。
今後の展望として、より多くの事例についての調査分析を進めるとともに、空間構成が周辺に存在する農地や地域の農に対する意識とどのように関連しているかについても分析を進めていきたい。