表題番号:2024C-449
日付:2025/04/05
研究課題四国における茶堂の建築と習俗の研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 理工学術院 創造理工学部 | 准教授 | 小岩 正樹 |
- 研究成果概要
茶堂とは、農村集落ごとに建てられた一間四方ほどの規模の、三方吹き放しの建築である。辻堂とも呼ばれ、旅人の休憩場所であり、集落の人々が旅人を接遇する場所、また集落内での儀礼や親交の場でもあるとされる。特に四国では、土佐(高知県)と伊予(愛媛県)に多く見られ、山間部の旧街道沿いの集落にある。遍路巡礼の盛行に伴い江戸期に成立したと見られるが、地域コミュニティのあり方や、地域の外部への接触のあり方など、その文化的背景を含めて特徴的である。そのため、無形民俗文化財に茶堂の習俗として指定されてはいるが、巡礼の様相や集落のコミュニティ、交通手段の変化等より、茶堂は失われつつあり、例えば高知県梼原町では、明治には56集落で53棟、昭和40年代に39棟があったものが、現存は13棟が残るに限られる。また隣接する愛媛県西予市城川町では、53集落に残るとされるが、正式に把握できてはいない。したがって、本研究では現存する茶堂建築および行われる習俗の記録を行い、その成り立ちの仕組みについて歴史的観点から考察することを目的とする。本年度は、2023年度の愛媛県西予市城川町の茶堂を対象とした調査について、改めて整理とまとめの作業、補足の調査を実施した。調査は、建築の配置調査と図面作成、写真撮影記録を調査項目として、現存確認と地域および集落の中での立地、成立要因について考察したものであったが、不足していた情報の補完や、分類方法や情報精度について再検討と修正を行い、報告書にまとめ、発行した。ただし、このうち成立要因については不明瞭な点が多く、今後は引き続き城川町の歴史的資料調査を行い、検討を加える計画である。