表題番号:2024C-440
日付:2025/02/05
研究課題認知症のある方のポジティブな在り方の直感的な共有・体験のためのメディア
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 基幹理工学部 | 教授 | 橋田 朋子 |
- 研究成果概要
- 本研究では、認知症未来共創ハブによる「88人の認知症のある方の語り」を再度読み解く中で見つけた認知症のある方の日々を生き抜く知恵とユーモアを、広く共有したり追体験するための作品制作と展示を行った。まず、共同研究者や学生と共に、認知症とともに生きる方々のエピソードを分析した。その結果、認知症のある方は、変化する自らの現状に向き合い、苦手なことが増えても折り合いをつけたり、これだけはこだわりたい手放したくないと踏ん張ったりしながら、これまでのやり方にとらわれない「代替」可能な方法を編み出し、「だいたいOK」と思える新たな地平を拓いている、と考えた[1]。その上で、このような3つの姿勢のいずれかを体感できるような手法を複数提案した。特に深く関わったものは「そうなんでスタンプ」「2個あるんです掲示板」「もしもを楽しむカード」の3つである。そうなんでスタンプは、認知症のある方の多様な知恵や工夫のエピソードをスタンプ形式にしたもので、20個のスタンプから構成され、参加者は絵や短い文字から直感的に選んだエピソードを押して持ち帰ることができる。2個あるんです掲示板は、認知症のある方が同じものを買いすぎてしまっても、その状況をポジティブに捉えられる工夫をしていることに着想を得た2個以上買ってしまったものやその使い道に関するアイディアを付箋で投稿・共有できる仕組みである。もしもを楽しむカードは認知症のある方が、日記を通じて自分のエピソードを再構築しながら生活していることに着想を得た、実際にあるかもしれない「もしも」の出来事を空想して楽しむための装置であり、2種類のカードの組み合わせで質問ができあがり、それに対する回答を書き残していくものである。展示を通じて、当事者の方は勿論、幅広い興味関心の方達に自然な形でこれらの作品を体験してもらうことができた。[1]だいたいおっけー展webサイト https://daitai-ok.studio.site