研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 理工学術院 基幹理工学部 | 教授 | 小西 毅 |
(連携研究者) | 大阪大学 | 大学院生 | 中山 |
- 研究成果概要
次世代情報通信技術(Beyond5G)の実現における最も深刻な実装上のボトルネックの一つとして、アナログ・デジタル変換(ADC)の広帯域化の基礎的な検討を進めた。Beyond5G における情報通信の高速化および大容量化にむけて、数十GHz~数THz の高周波信号の取り扱いが求められているが、高周波化に伴う問題点として、ADCおよびDACのいずれにおいても、熱雑音などによる時間ジッタの影響を障壁とする有効ビット数(分解能)の低下の問題が顕在化してきている。 これまでに、高い有効ビット数を維持したまま、この時間ジッタの問題を効果的に圧縮する方法として、低コストで低消費電力な低周波AWG の出力信号から光の性質を用いて高周波信号を生成する高周波移行技術を提案し、生成可能な高周波信号の一つとして、光サンプリングパルス列の生成の検討を進めてきている.本研究では、アナログおよびデジタル信号間の帯域や精度に関する不整合を整える役割を実現するために、提案する高周波移行技術自体の検討を更に進めるとともに、ADCにおけるサンプリング技術としての応用展開を目的とし、帯域整合と情報圧縮の導入を念頭に置いた光サンプリングパルスの生成の検討を行った。また、高周波光サンプリングパルス生成には、これまでに提案してきている高周波移行技術を用い、情報圧縮に耐えうるADCにおけるサンプリング技術の確保を念頭に置いた生成した信号の時間ジッタを中心とした品質評価を行った。帯域整合が可能な生成高周波光サンプリングパルス列の時間ジッタや実現可能な有効ビット数などの信号品質について検討し、10GSpsにおいて1psを下回る非常に低い時間ジッタと十分に高い約7ビットの有効ビット数の実現可能性を確認した。今後、得られた成果をもとに帯域整合と情報圧縮の導入に関する研究を更に進める予定である。