表題番号:2024C-429 日付:2025/02/04
研究課題境界値問題に対する精度保証付き数値計算を用いた高効率な全解探索法の開発とその応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 講師 浅井 大晴
研究成果概要
境界値問題に対する精度保証付き数値計算を用いた高効率な全解探索法の研究を行った。結果として、境界値問題の一つであるエノン型方程式の正値対称解の多重解の個数やその分岐に関する数学的未解決問題に対して開発した全解探索法を用いて計算機援用証明を達成するに至った。当該手法の特徴は、理論解析で多重解が存在しうるとされていたパラメータ範囲に対して、計算機を用いて網羅的に探索を行った点にある。その計算の中では、解の存在定理と、解の非存在定理を組み合わせた、全解探索アルゴリズムを使い、決められたパラメータ範囲に対して多重解の個数は3個しかないということを決定づけることまで計算機援用証明するに至っている。この全解探索を行うには計算時間がボトルネックであるが、対称性や正値性を考慮して、計算時間を大幅に削減したところが大きなブレイクスルーである。さらに、並列計算の手法も取り入れることで、現代の計算機の性能を最大限に引き出し、探索効率を向上させている。上記の研究成果は、日本応用数理学会2024年度年会、The 43rd JSST Annual International Conference on Simulation Technology & The 23rd Asia Simulation Conference、RIMS共同研究(公開型)「計算科学に資する数値解析学の展開」(招待あり) にて発表を行った。今後、理論解析において解の多重存在を示す方法を見いだせないような問題に対して、精度保証付き数値計算による計算機援用証明の意味で、解の多重存在を証明することができるという一つのモデルケースとなる。