表題番号:2024C-425 日付:2025/04/03
研究課題レーザー誘起クラウドキャビテーションの圧壊に伴う衝撃波現象の観測
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 助教 牛奥 隆博
(連携研究者) 早稲田大学理工学術院 教授 吉村浩明
研究成果概要

高速で運動する液体中では,圧力が飽和蒸気圧まで低下した際に相変化が起こり,クラウドキャビテーションと呼ばれる無数の気泡の塊が発生することがある.クラウドは集団的に成長と圧壊を繰り返すと共に,圧壊に伴って強力な衝撃波が発生することが知られており,その破壊力を用いた工学的応用が医療や環境の分野で進められている.しかし,クラウドの圧壊と衝撃波の放出は非常に高速な現象であるため,その実験的観測は容易ではなく,そのメカニズムは十分に明らかにされていないのが現状である.そこで,本研究では,クラウドの圧壊と衝撃波の発生・伝播の詳細を明らかにすることを目的として,高速度ビデオカメラを用いた超高速度撮影を行う.具体的には,Ho:YAGレーザーを使用したパルスウォータージェットの噴射でクラウドを発生させると共に,シュリーレン法による可視化を行い,撮影速度170fpsの高速度ビデオカメラを用いてクラウドとその圧壊に伴う衝撃波を撮影した.その結果,申請者らが「クラウドの核」と呼ぶ,クラウドの中でもボイド率の高い領域が完全に圧壊する前に弱い圧力波が放出される様子が観察された.この弱い圧力波の放出は申請者らが先行研究で行った粒子法による数値計算でも確認されており,クラウドの核を構成する気泡や空洞が個別に圧壊することによって発生していると推測される.また,弱い圧力波の放出後,クラウドの核が圧壊が圧壊した瞬間に複数の衝撃波が発生・伝播することが分かった.以上の実験結果は,複数の圧力波・衝撃波が集積することによって強力な衝撃波が形成されることを示唆するものであり,現象解明において重要な知見になると確信している.上記の研究成果は,2025年度の国内会議と国際会議での口頭発表,及び雑誌論文として投稿する予定である.