表題番号:2024C-420
日付:2025/06/17
研究課題多様性の決定要因と効果の解明:社外取締役・M&A・機関投資家を用いた実証研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 商学学術院 大学院経営管理研究科 | 教授 | 内田 交謹 |
(連携研究者) | Beijing Wuzi University, | Liping Dong | |
(連携研究者) | University of Alberta | Sadok El Ghoul | |
(連携研究者) | University of South Carolina | Omrane Guedhami | |
(連携研究者) | Beijing University of Posts and Telecommunications, China | Yuyang Zhang |
- 研究成果概要
- 本プロジェクトでは、4つの研究課題に取り組んだ。第一に、中国企業について、海外での学習・勤務経験のあるCEOは関係当事者間取引を行う傾向が弱いことを明らかにした。特に法制度の整備が進んだ国での学習経験が関係当事者間取引を減少させる効果を持つことを示している。この結果は、海外の進んだ規範や倫理観を取り入れることが企業の好ましい行動につながることを示しており、多様性の効果に関する一つの重要な発見である。この論文を Journal of Behavioral and Experimental Finance に公刊した。第二に、中国企業のM&Aについて分析を行い、被買収企業の所在地の航空交通ネットワークが買収価額に正の影響を与えることを明らかにした。先行研究では買収・被買収企業の直行便の存在がM&A取引を促進すると主張しているが、本研究では、ネットワーク分析を用いることで買収企業・被買収企業の所在地の交通利便性を別々に計測し、買収企業に新たに加わる被買収企業の交通ネットワークが価値創造の源泉となることを強調している。現在、国際学術誌に投稿中である。第三に、日本企業の経営者交代について実証分析を行い、長期勤続した内部者を経営者に昇任させる企業は経営者交代の頻度が高いことを明らかにした。これらの企業はまた、株主還元が少ないことも明らかにしている。これらの結果は、内部者によるトーナメントが経営者交代の重要な要因になり、企業行動にも影響することを示している。今後国際学術誌に論文を投稿する予定である。最後に、日本企業によるM&Aのデータベースを構築し、買収企業と被買収企業の特性の相違を変数化している。また各M&A発表時の株価反応を計算した。今後、特性の異なる企業を買収する企業の決定要因および株価反応の決定要因を分析することで、多様性の決定要因及び効果に関するエビデンスを論文としてまとめる予定である。