表題番号:2024C-410 日付:2025/03/08
研究課題ゲーム産業における偉大なるイノベーターとの協働経験に関する実証研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 助手 焦 雅
研究成果概要

本研究では、創発的戦略の視点から、クリエイターに強制的な残業や多大な労力を要求するリーダーシップを概念化し、「適応型リーダーシップ」と名付けた。また、このようなリーダーとの協働経験を「クランチ」と提唱した。これまでの研究では、クランチは主にネガティブな経験として捉えられてきた。しかし、本研究は、クランチがもたらすポジティブな影響にも着目し、その意義を明らかにすることを目的とした。具体的には、クランチといった過酷な体験を乗り越えることにより、クリエイターはイノベーティブな作品を作り出すためのプロセスを学び、その後のイノベーション活動に必要な知見を獲得する可能性があることを示した。ビデオゲーム業界のクリエイターを対象としたデータ分析の結果、適応型リーダーのもとでは、クリエイターが危機を経験した後に活動を停止する傾向がある(危機後症候群)ことが確認された。しかし、生存者のその後のイノベーション活動への影響は、必ずしもネガティブなものに限定されるわけではないことが明らかになった。本研究では、クランチが持つ負の側面とともに、潜在的なプラスの影響も併せて検証し、リーダーシップとクリエイターのイノベーションの関係性について新たな視点を提供する。