表題番号:2024C-409 日付:2025/02/02
研究課題上司の時間への緊急感による部下の疲労感の増加とヘルプ行動の減少
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 助手 オウ ヘキサン
研究成果概要

近代ビジネスではスピードと効率性が重要視され、従業員は時間的制約の中で働いている。特に、上司は業務遂行を迅速化し、競争優位を確保するために時間への緊急感(Time Urgency)を持ち、部下の作業進行を厳しく管理する。高い緊急感を持つ上司は、職場全体の業務速度を向上させるが、一方で部下同士のヘルプ行動を低下させる可能性がある。本研究では、ヘルプ行動の減少メカニズムに着目し、上司の時間緊急感と認知資源理論を活用し、上司の時間緊急感が部下の認知資源に与える影響と、その負の効果が部下の時間緊急感によって軽減される可能性を検証した。その結果、まずヘルプ行動の減少は、認知資源の消耗につながることがわかっていた。緊急感の高い上司のもとでは、部下は作業に極度に集中し、他者支援に割く認知資源が不足するため、相互理解が希薄になり助け合いが減少する。しかし、上司の時間緊急感の影響は部下自身の時間緊急感によって調整される可能性がある。部下自身も高い緊急感を持つ場合、上司と目標への意識が一致し、一体感が生まれることで業務要求を強制的とは捉えにくくなる。また、時間的圧力もヘルプ行動の重要な調整要因と考えられる。感情的な疲労と時間的圧力を同時に感じる部下は、認知資源を回復しようとし、支援を得るためにヘルプ行動を増加させる可能性がある。