表題番号:2024C-408 日付:2025/03/19
研究課題企業のパフォーマンスフィードバックとアテンションシフトの関係性
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 准教授 山野井 順一
(連携研究者) 一橋大学 准教授 永山晋
(連携研究者) 慶應義塾大学 准教授 清水たくみ
研究成果概要
先行研究では、企業のパフォーマンスフィードバックが探索行動に影響を与えることが示唆されているが、その結果は一貫していない。本研究では、これらの不一致が先行研究における2つの重要な問題に起因すると提案する。第一に、探索行動は理論的には直面した問題に対する潜在的な解決策を追求することとして定義されるが、先行研究では主にその結果(実施された具体的な行動やその成果)を分析するにとどまり、企業がどのように探索の焦点を異なる領域へと転換するのかについては検討されてこなかった。第二に、探索の距離という概念が過度に単純化されている点が挙げられる。distant searchは、企業自身の過去の探索領域から逸脱する場合と、同業他社の探索領域から逸脱する場合の2種類が考えられるが、先行研究は後者をほとんど考慮していない。本研究では、attention-based viewを採用し、パフォーマンスフィードバックが企業の注意の独自性(企業が注目する課題と競合他社が注目する課題との違い)をどのように変化させるかを検討した。2004年から2016年の日本の上場企業のデータを用いた分析の結果、資源が乏しく変動の激しい環境(業績向上の機会が限られ予測困難な環境)において、企業はパフォーマンスフィードバックに応じて注意の独自性を調整することが明らかになった。その調整の方向性と程度は、フィードバックの評価(ポジティブかネガティブか)および参照基準(historicalかsocialか)によって異なることが示された。