表題番号:2024C-403 日付:2025/02/21
研究課題Diversityとgenderに配慮した英語教材・教科書開発のための基礎調査
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 教授 森田 彰
研究成果概要
2022年度より継続的に行っている本研究の最終目的は、20世紀後半の Politically Correct (PC) とは違った文脈で顕著になっている diversity  に配慮した英語の運用、表現を分析することによって、その知見を日本の英語教育、特に中等・高等教育における英語教科書、教材の開発に活用することにある。
  本年度は、特に英語運用の海外での状況に目を向けた調査を行う事とした。その調査対象は、もちろん研究課題である gender に関する英語運用・表現の現状を見定めるためのものだが、昨年度までの she/he に代わる they の用法といった文法面や、特定の表現に関わるものだけでなく、広く、話題、例示、更に言い回し全般の全体的傾向にも焦点を当てた。研究対象を広げた契機として、海外の出版社から出されている英語教科書において、2000年代初頭に編纂され根強い支持を得ていた教科書の廃刊があった。考えられる廃刊理由の一つに、教科書に採用されている話題や例示(例文)が、gender (や diversity)の観点からいうと旧来の価値観に根差したものと捉えられる可能性があった事が挙げられる。
  こうした経緯もあり、今年度は、言わばアジアの英語「先進国」であるシンガポールの英語運用に目を向け、現地での英語運用全般に関して調査を行う事とし、2024年12月20日から28日まで研究出張を行った。その成果は多岐にわたり、まとまった検証は来年度以降の課題だが、これまでの研究成果を形にした教科書 (Global Gate Series 成美堂、2023年度に報告) の台湾版も出版されたので、これらも活用しながらより具体的な比較検証を行おうと考えている。
  また、今後の課題の一つとして、Trump政権下における特に合衆国の diversity/gender に関するある種の「より戻し」も視野に入れた調査の必要も感じている。