表題番号:2024C-397
日付:2025/03/17
研究課題スター発生の社会的条件についての実証研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 商学学術院 商学部 | 助手 | 鐘 粤 |
- 研究成果概要
- 本研究は、スターとの紐帯が個人のスター形成に与える影響についての実証研究である。スターとは高い業績・地位・名誉・社会的資本を持つ個人のことであり、先行研究ではスターが他者に与える影響について論争が起きている。スターが持つ知識・地位は、一緒に仕事をしているノン・スターの他者に移転でき、後者のキャリア成長に正の影響を与えると、一部の先行研究は指摘している。一方、ノン・スターがスターとの共同仕事に際し、スターと同等的、もしくはそれ以上の貢献を果たしている可能性があるにも関わらず、人々は両者の間の共同仕事における功績の大多数を、スターに帰属する傾向にあると指摘する研究も現れている。それに対して本研究は、科学的文献データベースを使い、スター研究者がノン・スター共同研究者に与える影響を、被引用数という側面で調査した。具体的には、スター研究者がスターとして認められるようになる節目となるイベントを使い、その時点より前にスター研究者と共同研究を出版しているノン・スター共著者と、その時点より後になって初めてスター研究者と共同研究を出版しているノン・スター共著者との被引用数の推移を比較した。その結果、スター研究者が前者に与える影響が負であり、後者に与える影響が正であるということを発見した。また、前者の共同研究者は、スター研究者と離れた分野の研究を取り組んでいる場合、もしくはスター研究者と共著し始める前に低い注目度しか得ていない場合、スター研究者からの負の影響は軽減できるというエビデンスも得られた。これらの結果は、スターが他者に与える影響についての、先行研究における論争をうまく解消しようとしている。さらに、スター研究者との紐帯を通じ、自身のキャリアアップを目指している研究者たちにも、有意義な実践的インプリケーションを与えている。