表題番号:2024C-393 日付:2025/03/10
研究課題生成AIを用いた探究的な学習のための単元プログラム開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 大学院教育学研究科 教授 田中 博之
研究成果概要
本研究は、生成AIを用いた探究的な学習のための単元プログラムを開発することを目的とした。具体的な研究成果としては、これからの教育改革の重要な課題である探究的な学びの基本的な3つのタイプ(仮説検証型、創作表現型、実践実習型)を、理論研究及び研究協力校での授業実践を通して開発した。

(1)仮説検証型
 仮説検証型の探究的な学びは、子どもたちが特定の問いや仮説を立て、それを検証するためのデータや情報を収集・分析し、最終的にその仮説の妥当性を評価する過程を中心に据えた学習アプローチである。生成AIの技術を組み入れることで、この学習アプローチをさらに豊かにし、効果的に行うことができるだろう。
 以下に、生成AIを用いて子どもたちが仮説検証型の探究的な学びを行うための活動系列モデルを示す。
① 問題の発見・問いの設定
② 仮説の立案
③ データの収集と整理
④ データの解析・評価
⑤ 仮説の検証
⑥ 結果の発表・共有

(2)創作表現型
 創作表現型の探究的な学びは、子どもたちが自ら感じたことや考えたことをクリエイティブな形で表現することを中心に据えた学習アプローチである。生成AIの技術を組み入れることで、この表現の幅や深さを増加させ、より多様な方法での創作活動を促進することができるだろう。
 以下に、生成AIを活用した創作表現型の探究的な学びの活動系列モデルを示す。
① テーマ・トピックの選定
② アイデアの発想・ブレインストーミング
③ 初期のスケッチ・試作
④ 評価・反省
⑤ 作品の完成・修正
⑥ 作品の発表・共有

(3)実践実習型
 実践実習型の探究的な学びは、子どもたちが実際の行動や体験を通じて知識や技術を獲得することを重視するアプローチである。生成AIをこの学習アプローチに組み込むことで、 子どもたちの体験をさらに深化させたり、新しい視点や方法での体験を提供したりすることが可能となるだろう。
 以下に、生成AIを活用した実践実習型の探究的な学びにおける活動系列モデルを示す。
① 目標設定
② 計画作成
③ 実践・実習
④ 記録・反映
⑤ 評価・振り返り
⑥ 再実践・向上
⑦ 成果の共有

 ただし、教師が安易に生成AIに子どもたちの個人情報を入力することは危険であり、最終的な成果物を、教師がしっかりと専門的知識や確かなソースに基づいて確認することも不可欠である。