表題番号:2024C-379 日付:2025/03/31
研究課題日本と米国の公立小学校におけるイマージョン教育のカリキュラム比較
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 原田 哲男
研究成果概要
日本国内の英語イマージョン教育(教科学習の少なくとも半分を英語で実施)は、ほとんど私立学校で行われてきたが、米国内では、多くの公立小学校でスペイン語を始めとして、日本語を含めたアジア言語でのイマージョン教育(Dual Language Immersion)が様々な州で実施されている。バイデン前政権下の教育省は二言語での教育を強く押し出していた。本研究では、両国の公立校におけるイマージョン教育の成果をオンライン文書、学校訪問、授業観察、教員やアシスタントの聞き取り、また米国の大学におけるバイリンガル教員養成制度についての調査を実施している。イマージョン教育の継続性の観点から、研究者が滞在中の州では小学校のみでイマージョン教育が終わらないように、形態は異なるが、さらに中等教育でも継続できるようなプログラムが公立学校に存在している。日本の私立学校では、国際バカロレア教育と結びつけているところが多い点が異なる。また、米国の公立校に在籍する様々なバックグラウンドの児童が第二言語での教科学習を可能にするために、10ヶ月の契約で目標言語話者(大学生や卒業生)を海外から招聘し、アシスタントとして雇っている。さらに、州内の大学は1年間の集中的なバイリンガル教員養成プログラムを開設し、修士号が取得できるようになっている。
 日本における公立小学校の英語イマージョン教育プログラムは、私立学校のカリキュラムと異なり、日英語を教科や時間で分けることをせずに、一つの授業の中で英語話者と日本語話者の教員が二言語を適切に使いながら、いわゆるトランスランゲージング(translanguaging)の手法を用いて教科学習を実施している。コロナ禍で始まった当該プログラムは次年度に卒業予定の6年生を対象として総括的評価を行うことになっている。そのための評価手法を学校側と話し合いを行い、英語を通しての教科学習の有効性、またその教科学習を支える言語能力(とくに、対話的学習を促進する話す能力)を様々な観点から測定する。