表題番号:2024C-376
日付:2025/03/21
研究課題近世期における百人一首受容の研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 教育・総合科学学術院 教育学部 | 教授 | 天野 聡一 |
- 研究成果概要
- 本研究の目的は、近世期の人々が前時代の古典をどのように学び、またどのような文学を創作したのかという問いに答えるべく、近世期に大衆化して絶大な人気を誇った『百人一首』を対象に据え、その受容の様相を研究することである。以下、設定した3つの小テーマごとにその研究成果を報告する。①時雨の亭の受容研究:藤原定家が百人一首を編纂したと伝わる時雨の亭の伝承が発生した淵源と近世期の受容について、先行研究を参照しつつ、中世期の関連資料(明月記、水蛙眼目、楊鴫暁筆、百人一首注〈幽斎〉など)や近世期の注釈書・紀行・日記(百首異見、浜木綿日記など)を博捜して整理・概観した。この成果は学術雑誌『雅俗』にて発表した。②〈感嘆する俊成〉分析:定家の父・俊成が定家と式子内親王の恋を後押ししたという伝承について、その発生と展開の様相を中近世の和歌注釈(自讃歌注、筆じやみせん、渓雲問答など)、近世期の随筆類(和歌物語、南嶺遺稿など)から用例を収集し、整理・概観した。この成果は学術雑誌『国語と国文学』にて発表した。③『百人一首図絵』注解:百人一首の絵入り注釈書である『百人一首図絵』について、天智天皇歌から小野小町歌までの翻刻・現代語訳・注釈・内容読解を行った。底本は早稲田大学所蔵本を用い、適宜架蔵本を参照した。この作業は今後も継続して行ってゆく。