表題番号:2024C-370
日付:2025/03/23
研究課題高齢者教育に関する日本および台湾の比較研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 教育・総合科学学術院 教育学部 | 教授 | 小林 敦子 |
(連携研究者) | 台北市中正社区大学 | 講師 | 楊碧雲 |
- 研究成果概要
台湾では、近年、高齢化が急速に進んでおり、高齢者教育への関心が高まっている。申請者は、東アジア地域の教育をフィールドとする研究者として、2000年代以降、台湾でのフィールドワークを行ってきた。近年において、申請者は台湾の高齢者教育の研究のため、2022年、2023年、台湾を訪問し、教育部(文部科学省に相当)、楽齢大学(大学に設置されたの高齢者向けカレッジ)のリサーチを行った。台湾の高齢者教育の施策は、高齢者が外に出かけ仲間と楽しく交流する取り組みが中心であり、日本の高齢者教育の実践において、参考になる点が多い。
2024年は、台湾において、主に台北市、新北市のデイケアセンター、及び社区大学の調査を行い、認知症予防に向けて、具体的にどのような講座が実施されているのか、また、高齢者向けの指導者に対する研修がどのような形で実施されているのか、参与観察及びテキスト分析から検証してきた。
日本と台湾との高齢者教育を比較すると、日本の方が早い段階で人口の高齢化が進んだこともあり、高齢者教育の取り組みが台湾に先駆けて実施されてきた。ただし、台湾においても、近年、高齢化が急速に進展しており、高齢者教育に対する施策が政府によって積極的に進められている。
学習内容について比較すると、日本の高齢者教育については、地域学習が盛り込まれており、地域活動の担い手を育成しており、この点は台湾からは興味を持たれている。また、台湾の高齢者教育については、どちらかというと、ダンス、絵画といった趣味の活動が日本に比べて多い。ただし、高齢者が積極的に自宅の外に出て、活動に参加している点は特筆すべきであるし、楽齢大学、学習サークルにおいて、遠足や旅行が活動に組み込まれているケースも少なくない点も、注目すべきであろう。
高齢者教育については、日本及び台湾において、共通の関心事でもあり、今後、研究及び実践面での交流が進展することが期待される