表題番号:2024C-369 日付:2025/11/10
研究課題人工知能社会での教育分野での期待と不安要素のフィクションからの未来予測
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 三尾 忠男
研究成果概要
AIがヒトの判断の代替をする等依存が高い社会の到来を見越して、教育分野を含む私達の生活を想像してどのような不安があるのか、について、これまでに読書・視聴した経験のあるAIが登場する小説・アニメ・映画などの作品から受けたどのような印象を大学生はもつのであろうか。 (1)サイエンス・フィクションの小説・映画・アニメーション等でAI社会を描いた作品でヒトと社会、AIの功罪についての描かれ方を類型化・カテゴリー分けを試行した。あくまで試行であるので、対象とする作品は(2)で大学生が取り上げた31作品とする。まず、最も多数の回答があった(44件中5件)のがアニメ「ドラえもん」とアニメ映画「ベイマックス」であった。これらは視聴対象が幼児まで含むものであり、描かれているAIは外見が優しいロボットであり、家庭の中での活躍であり、ヒトとしての人格も非常に優しい。他の29作品は、AIが人類社会を制御するものとして登場し、人類と敵対する内容となっている。
(2)これらの作品の視聴経験をもつ大学生の殆どは、AIとの社会での共存について次のような不安を感じている。AIが人間の制御を超えた場合やAIに社会・個人が全ての判断を委ねるた場合に、ヒトの倫理観を超えた判断・行動がありうるという不安である。また、人間とは何かを再考することで共生のあり方を考えることができる、心理士・教師の代用が期待できるという肯定の意見が少数あった。教育面として、AIを学習で利用する場合、自分に都合のよい回答がでるようにAIを学習させ、思想や思考の偏りを危惧する意見があったことは特筆できよう。