表題番号:2024C-365 日付:2025/03/31
研究課題関東山地の低変成度岩における含水Ca-Al珪酸塩鉱物の特徴
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 准教授 田口 知樹
研究成果概要
カルシウムとアルミニウム成分に富む含水珪酸塩鉱物(例えばローソン石)は低温高圧変成作用の指標と認識され、収束境界深部を構成する変成玄武岩や堆積岩に多く存在することが示唆されている。ローソン石は西南日本三波川帯の結晶片岩類からも稀に確認されるが、その産出は低変成度域に限定され、変成岩岩石学的特徴についても不明な点も多い。本研究では、関東山地御荷鉾ユニット(低変成度域)で新規に見出された含ローソン石片岩を対象に岩石学的研究を実施した。ローソン石は白雲母に富む層で普遍的に観察され、それらは自形的な形状を示す。研究対象の片岩ではセクター構造を示すローソン石も認められた。EPMA分析により、そのセクター部においてLa、Ce、Ndなどの軽希土類元素が濃集することも判明した。また炭質物ラマン温度計により、ピーク変成温度は約320–360℃と見積もられた。上記の岩石学的特徴は、三波川帯低変成度域の含ローソン石片岩と類似しており、本研究成果は当該地域の変成履歴を明確にする上で有用な手がかりになることが期待される。