表題番号:2024C-363
日付:2025/03/20
研究課題現代朝鮮語における与格助詞-eykeyの示す場所性について―移動動詞結合と存在詞結合を中心に―
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 文学学術院 文学部 | 准教授 | 山崎 玲美奈 |
- 研究成果概要
- 現代朝鮮語の与格形式である-eykey及び-hantheyは有情名詞とのみ結びつくもので日本語に訳す際には「に」格を用いて訳すことが多い。その一方で-eykey及び-hantheyは移動動詞及び存在詞と結びつく際には「~のところに」を補う必要のある「場所性」を示す場合が存在する。本稿ではこのような-eykey及び-hantheyが「場所性」を示す場合と示さない場合の条件がいかなるものであるのかを,移動動詞結合と存在詞結合という場合を中心として明らかにすることを試みた。その結果,第一に,【eykey/hanthey名詞句+移動動詞】という結合では,移動する主体が具体名詞で人間などの有情物であり,結びつく移動動詞がkata(行く)やota(来る)といった典型的な移動動詞の場合は「場所性」を明確に示した。その一方で移動する主体が抽象名詞である場合や移動動詞がtakakata(近づいていく)のように複合的な要素を持つ非典型的な移動動詞である場合には「場所性」を示す意味合いが弱まり「対象」を表す用法により近づくことが明らかになった。第二に,【eykey/hanthey名詞句+名詞+存在詞】という結合では,存在する主体が抽象名詞である場合には「場所性」を示さない。その一方で存在する主体が具体名詞である場合には「場所性」を示しうるが,その名詞句が「場所性」を示し「所在」を表すのは具体名詞がその名詞句と同等程度の大きさで且つ可動性を持つ時のみである。名詞句を包摂する大きさであり可動性を持たない場合には「所有」を表し「場所性」を示さない。このことから,【eykey/hanthey名詞句+名詞+存在詞】という結合においてその名詞句が「場所性」を示すには,存在する主体となる名詞が具体名詞であり且つその名詞句と同程度の大きさで,可動性を持つ物に限られるという制約を持つことが明らかになった。