表題番号:2024C-356
日付:2026/09/14
研究課題演劇の映像音声記録資料の国際的な利活用をめぐる基礎的研究
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 文学学術院 文学部 | 教授 | 児玉 竜一 |
- 研究成果概要
- 本研究では、雑誌、写真などの紙資料を、さらに立体的に活用するための補助資料として、映像音声資料を位置づけて、これらによって、過去の演劇史をより実感をもって回顧し、その実相をさぐる方法とするべく、いくつかの成果発表をおこなった。2024年度に演劇博物館において「築地小劇場100年」を記念する展示をおこなったことに関連して、文学座、俳優座、劇団民芸の、新劇3劇団の重鎮にお越しいただき、親しくお話をうかがう機会を設けた。演劇博物館所蔵の新劇資料から、劇団民芸の「火山灰地」「るつぼ」「炎の人」、俳優座の「ハムレット」「人形の家」、文学座の「女の一生」など、各劇団の財産演目の映像音声資料の残存状況を調査確認し、年代特定を行った。これらの映像は、1950年代から60年代にかけての新劇を知るための重要資料と位置づけられるとともに、海外戯曲をこの年代においてどのように消化していたかを知るための、貴重な手がかりと目される。このほか、歌舞伎俳優の映像や音声にもとづく調査では、京劇の梅蘭芳との交流があった歌舞伎俳優の傾向をあぶり出して、梅蘭芳の伝統意識を再検討する研究発表を、中国泰州における梅蘭芳生誕130周年記念の研究集会において行った。英語能「メンフィスの青い月」日本初演に際しては、上演本と初稿戯曲などをつきあわせた上で作者との対談に臨み、音声演出などについての証言を引き出した。また、古書店よりフィルムを購入することによって、長谷川伸とその周辺についてのプライベートな動画資料を入手検討することができた。こうした、国内での資料調査にもとづく知見は、ブリュッセルでの研究発表「絵画研究は演劇研究に何をもたらしたか」や、英バーミンガム大学のティファニー・スタン教授とのオンライン対談「歌舞伎とシェイクスピア上演の過去・現在・未来」に活用し、今後の国際的な関心に応える足がかりを得た。