表題番号:2024C-348
日付:2025/04/03
研究課題刺激新奇性が模倣学習に与える影響の検討
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 文学学術院 文学部 | 准教授 | 田中 雅史 |
- 研究成果概要
本研究では、スズメ亜目の一種であるキンカチョウという、ヒトと同様、自発的に音声の模倣を行う能力を有する鳥を利用して、キンカチョウとヒトが模倣学習を行う際に、刺激における新奇性が学習促進する可能性を並行して検討している。すでに申請者の研究によって、対面コミュニケーションにおいてキンカチョウが新しい鳥の歌を聞いた時に模倣学習が促進されることが明らかになっているが、新奇刺激がどの程度模倣学習への促進効果をもっているのかは明確ではなかった。本年度は、キンカチョウにとって新奇刺激である音階をもった電子音を聞かせることで、その模倣させやすい形質を明らかにでき、またその文化的伝達が確認できた。また、ヒトにおいても新奇刺激な無調の旋律を聞かせることで引き起こした模倣では、ピッチの安定性や旋律の複雑性によって調節される可能性が示唆されている。今後は、さらに多様な刺激を用いることで、模倣成績を向上させる刺激の探索を続け、また、模倣プロセスを調べるためにモーションキャプチャーなどの新しい手法も導入しつつ、2つの動物モデルを対象とした実験による相乗作用を通して、模倣学習を促進する要因の発見につなげたい。