表題番号:2024C-330 日付:2025/04/02
研究課題移行期の正義と恩赦をめぐる立憲的統制に関する比較事例研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 比較法研究所 助教 小阪 真也
研究成果概要
 2024年度は特に現代における重大な人権侵害に対する不処罰と移行期の正義に焦点を当てて研究を行った。
 具体的な成果として、当研究費を用い、2024年8月にネパールの主要三党で合意が成立し、改正された「行方不明者の調査および真実和解委員会に関する法律」について、和訳作業を行った。本改正法の内容に関しては、2025年度の比較法研究所発行の紀要に資料として公開される予定である。
 また、2025年3月2日から5日までアメリカ合衆国のシカゴで開催された世界国際関係学会において、2件の研究報告を行った。1つ目の報告は “After International Criminal Justice in the Former Yugoslavia: Connection to Domestic Transitional Justice in the Case of International Residual Mechanism for Criminal Tribunals (IRMCT)”と題し、旧ユーゴスラヴィア国際刑事法廷(ICTY)の閉廷に際して設立された国際刑事法廷残余メカニズム(IRMCT)の活動とボスニアおよびセルビアにおける移行期の正義との連関について論じた。2つ目の報告は “Incomplete Justice against Heads of States in International Criminal Tribunals: From Nuremburg and Tokyo Trial to ICC”と題し、国際刑事法廷による現職の国家元首に対する在任中の訴追の意義について、ニュルンベルク・東京裁判の経験からどのように現代の国際刑事裁判所(ICC)などの実行をとらえることができるのかを考察した。