表題番号:2024C-323 日付:2025/04/05
研究課題法人の占有について
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 助手 三井 瑞生
研究成果概要
本研究課題では、法人の占有に関する研究を行った。学説・実務において、法人が占有をしうることに異論はない。しかし、観念的な主体である法人自体が、事実的物支配である占有を有するのことは実際に可能であるのか、さらに、法人自体が物を占有しうるとしても、実際に、占有物を物理的に保持するのは法人自身ではなく、その機関を構成する自然人であるが、法人の占有と機関の物理的支配の関係はどのように考えられるべきかが問題になりうる。そこで、本研究課題においては、法人による占有の理論構成を明らかにするべく、ドイツ法の議論を参照しながら、これまでの理論構成の基礎となっていた、いわゆる占有補助者や占有代理人に関する研究を中心に行った。そして、これまでのように、法人機関を占有補助者や占有代理人と構成することが困難であると理解するにいたった。その過程で、日本において詳細に論じられることがほとんどなかった、占有補助者について得られた成果を今後学内の紀要において公表する予定である。もっとも、法人に関して検討しなければならない問題は山積しており研究途上であるが、引き続き、研究を進める予定である。