研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 法学学術院 法学部 | 教授 | 星井 牧子 |
(連携研究者) | ベルリン・フンボルト大学 | 講師 | Nicole Schumacher |
- 研究成果概要
テレビ会議を利用した遠隔交流は、外国語教育研究において広く議論されている。外国語学習・教育の場面にリアルタイムの遠隔交流を取り入れ、教室外での言語使用場面を教室内に取り込むことで、学習者の発話意図にもとづく言語使用の場をつくりだすことが可能になる。前年度までの調査により、遠隔交流に参加した学習者は、相手からの問いかけに対して答える力やグループ内参加者間の助け合いなど、「インタラクション能力」として重要な要素を学んだと感じていることがわかっている。2024年度は前年度に引き続き、教室間遠隔交流としてグループ間で行われるテレビ会議を異言語間コミュニケーションの場として考察するための基盤となるデータ収集を行った。
データ収集の対象としたのは、ベルリン・フンボルト大学ドイツ語言語学研究所と共同で実施したテレビ会議、約60分x計7回。フンボルト大学と早稲田大学の教室間遠隔交流として実施した。早稲田側参加者のエッセイと実施後アンケートでは、タイムラグなどオンライン特有の問題に加え、同じグループ内の参加者への配慮や発言のタイミングの難しさ、特定の参加者の発言が多くなる傾向など、テレビ会議による遠隔交流に限らない、グループコミュニケーションの問題も挙げられた。同時に、交流を通じてドイツ語での発話や相手への聞き返し、グループ内での助け合いなど、インタラクション能力に関する点が挙げられており、テレビ会議と外国語学習に関する分析基盤と学習者の視点からの知見を拡充することができた。
研究成果については、2025年3月にウィーン大学ドイツ語教育研究科において講演を行い、今後の遠隔交流のあり方と実施について、ウィーン大学およびベルリン・フンボルト大学の共同研究者と議論、検討した。今後は、グループ内のコミュニケーションにも着目し、言語習得段階とインタラクション能力の習得段階との関係も含め、テレビ会議を用いた遠隔交流と異言語間コミュニケーション場面での言語使用および外国語学習について考察をすすめていきたいと考えている。