表題番号:2024C-315 日付:2025/04/01
研究課題最近のドイツ住宅法制の改正と課題
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 助手 則武 昂希
研究成果概要
近年、ドイツでは特に大都市部において住宅不足と賃貸住宅の価格高騰が深刻化している。この事態に対処するため、2021年の建設法典改正では以下のような規定が設けられた。すなわち、既存市街地(連担建築地区)において、用途を住宅に特化した地区詳細計画の創設(建設法典9条2d項)、住宅市場がひっ迫している地域を指定する法規命令の制定権限の州への付与(建設法典201a条)、各種の都市建設命令(建設法典176~179条)の発出の要件に、建設法典201a条による指定を受けた地域が該当することを明記(建設法典175条2項)、都市建設命令のうち建築命令に際して、地区詳細計画で住居利用が許可されており、建設法典201a条の地域である場合には、所有者に対し、その敷地に1以上の住宅を建築しなければならないとする要件を課すことができる(建設法典176条)、などである。しかし、これらの法改正は住宅不足の解消にはつながらなかったようである。現在、住宅建設に際して建設法典の諸規定からの大幅な例外を認め、手続の簡素化を図る246e条の追加が予定されている。建設法典の一般的目標として「持続可能な都市発展」が掲げられている中、住宅という社会的必要と環境保護の必要との衝突がますます問題になると思われる。