表題番号:2024C-314
日付:2025/04/04
研究課題生殖・周産期医療におけるIoT利用に関する法的課題の検討
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 法学学術院 法学部 | 講師 | 原田 香菜 |
(連携研究者) | 京都大学 | 教授 | 井上 悠輔 |
(連携研究者) | 東京大学医科学研究所 | 准教授 | 李 怡然 |
(連携研究者) | 東京大学医科学研究所 | 特任研究員 | 渡部 沙織 |
- 研究成果概要
- 本研究課題では、体外受精等の生殖補助医療、出生前診断及び妊婦健診、分娩管理等の周産期医療における情報通信技術の活用に関連して生じる法的課題について、検討を行ってきた。生殖・周産期医療とIoTに関する1つの切り口として、第三者の関わる提供配偶子を用いる生殖補助医療と出生する子の出自を知る権利に関する課題について、ドナー情報を公的機関に登録・保管し、子への開示に関する制度を有する英国およびオーストラリア・ヴィクトリア州等への調査を実施し、これらの制度整備の準備段階にあるわが国との比較から考察を深めた。また、周産期における健診・分娩管理等における情報通信技術の利用に関して、医療者に対する調査結果の分析および実際の医療機関への訪問調査を実施した。僻地医療における訪問診療・訪問看護の場でのポータブルエコー等の機器の活用とオンライン診療(特に、看護師が患者を訪問し、医療機関の医師とIoT技術によりリアルタイム動画を繋ぎ、バイタル情報等を共有して実施するD to P with N)について、調査で得た知見や現場の医療者との意見交換に基づき、具体的な検討を行った。本研究課題の成果の一部について、年報医事法学39号掲載の判例紹介「出生した子が低酸素性虚血性脳症による脳性麻痺等の後遺障害を負ったことについてCTG所見等に基づき過失の有無が判断された近時の事例2件」にて、分娩時の低酸素性虚血性脳症により児に後遺障害が事例における産科医療機関の法的責任の有無について、CTG の所見等に基づき注意義務違反等の存否が判断された近時の判例に対する分析を行った。また、2025年2月の日本遠隔医療学会スプリングカンファレンス2025にて、「わが国におけるオンライン診療に関する法整備の動向と遠隔医療をめぐる法制度に関する議論」として、本研究課題の検討内容のうち、特に遠隔医療・オンライン診療に関わる法制度の動向に関する報告を行った。