表題番号:2024C-304 日付:2025/11/19
研究課題協力ゲームの新しい実験研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 教授 船木 由喜彦
(連携研究者) リヨン大学 ポスドク Gabriel Bayle
研究成果概要
本研究では、2人戦略形非協力ゲームにおいて、協力と交渉が可能な状況を導入した実験室実験を計画し、そこにおいて、協力の結果が、2人協力ゲームの理論の結果とどのような差異があるかを検証した。これは、協力ゲームの成立時期からの課題であり、その問題に正面から取り組んだ、最初の実験研究となる。
 具体的には、交渉において実験参加者の目標は、合計1000ポイント の利得分配についてペアの相手と合意を形成することある。なお、交渉において、参加者はチャットを自由に利用してコミュニケーションをとることができる。参加者は 1000ポイント の利得分配のオファーをいつでも、何度でも送信することができ、このオファーは、「オファーを送る」ボタンを押すことで即時に相手に送信される。このオファーは相手の画面に表示されるが、送信者が「オファーをキャンセル」ボタンを押すことで、いつでも取り消すことができる。さらに、新たなオファーを送信すると 1 つ前のオファーは相手の表示から消え、新たなオファーのみが表示される。
 相手からオファーを受け取った後、参加者が承認する場合は画面上の「承認する」ボタンを押す。オファーが承認された場合、そのオファーの分配が、実行される、そのラウンドの2人の利得となる。また交渉ステージにおいて、参加者は画面上の「交渉中止」ボタンを押すことにより、いつでも交渉を中止することができる。その場合か、制限時間内に合意が達成されない場合、ゲームは不合意ステージに移行し、当初の戦略形ゲームをコミュニケーションなしに実行する。参加者はこれらのプロトコルを正確に理解したうえで、上記の交渉を行う。
 上記の実験を2024年度の研究期間中に4セッション行い、現在分析を進めている。