表題番号:2024C-295
日付:2025/02/04
研究課題潜在構造の推定を目的とした機械学習による協調フィルタリング
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | データ科学センター | 教授 | 小林 学 |
- 研究成果概要
近年,マーケティングなどにおいて顧客(ユーザ)の商品(サービス)に対する消費行動(WEBの閲覧履歴や購買行動など)を数理モデルとして表現し,過去のデータから今後の顧客の消費行動を予測する協調フィルタリングが盛んに研究されている.
一方,実際のデータとしては消費行動の他に各顧客の属性データや各商品の属性データなどが存在し,これらも消費行動には間接的に影響を与えていることも考えられる.しかし,このような多種のデータを統一的に扱う研究は数少ない.
本研究ではこの顧客・商品・消費行動それぞれの観測変数に対して,各顧客の潜在変数ベクトルと各商品の潜在変数ベクトルが存在するものと仮定する.また潜在変数ベクトルから観測変数が生成・観測される確率的な潜在構造を設定する.ただし簡単のために全ての変数は量的変数と仮定する.このとき顧客および商品に対する潜在変数の特定には因子分析を用いることができ,一方で消費行動に対する潜在変数の分析にはPCAや行列因子分解,さらにはこれらの確率モデルバージョンのアルゴリズムを用いることが可能である.本研究ではこのときに欠測が発生していても効果的に推定可能な方法を提示した.さらに,これらから得られた潜在変数同士の関係を明らかにする手法の提案を行い,人工データを用いてその有効性を示すことができた.
これらの結果から,顧客,商品,消費行動の関係を明確な数理モデルで表現でき,またその構造推定を可能としたことにより,今後施策の評価などに用いることができる.今後の課題としては,実データに対する有効性の評価が挙げられる.