表題番号:2024C-294 日付:2025/04/03
研究課題無歪み画像圧縮のための確率モデル構築研究:要素モデルの統合に向けた予備的検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) データ科学センター 講師 中原 悠太
研究成果概要
無歪み画像圧縮のためにこれまで開発してきた要素モデル(画像生成確率モデル)を統合し総合モデルを構築するための予備的検討を行い,以下の研究成果を得た.

[1][4]次年度以降の総合モデル構築の際は,様々な要素モデルを木構造型に組み合わせることを想定している.本研究では,そのための予備的検討として,決定木モデルとその効率的事後確率計算アルゴリズムの研究を行った.決定木モデルは主に表形式データの生成過程を表現する確率モデルであるが,画像の生成確率モデルとその事後確率計算にも応用できると考えている.まず,データをバッチ処理することで事後確率計算の効率化を行った成果が,IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciencesに採録された[1].また,メタツリーと呼ばれる決定木モデルの集合を一つずつ追加していくことで事後確率計算の精度を高めていくアルゴリズムを提案し,2024 International Symposium on Information Theory and Its Applications (ISITA)で発表した[4].

[2]次年度以降に構築する総合モデルでは,パラメータのみならずハイパーパラメータもデータからの学習によって定めることを想定している.これは,近年画像圧縮分野で盛んに研究されている学習型圧縮の一種とみなすことができる.本研究では,ベイズ符号の拡張によって学習型圧縮を実現するための理論的枠組を提案し,2024 IEEE International Symposium on Information Theory (ISIT)に併設されたワークショップで発表した.

[3]様々な要素モデルを木構造型に組み合わせる際の方法として,これまでは木構造の葉ノードに要素モデルを配置する方式を検討していたが,内部ノードにも確率モデルを配置することによってより表現力の豊かな総合モデルを構築できる可能性がある.本研究では,そのための予備的検討として,単純な正規分布で表される要素モデルが木構造の内部ノードに配置されるような確率モデルとその事後確率計算アルゴリズムの研究を行い,その成果を2024 International Symposium on Information Theory and Its Applications (ISITA)で発表した.