表題番号:2024C-273
日付:2025/03/13
研究課題高大接続に関する数学教材の開発
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 高等学院 | 教諭 | 清水 英太 |
- 研究成果概要
- 一昨年度まで、文系・理系の志望の違いによる学習時の特性を測る研究を行い、同一の自然現象を提示して彼らがどう数理モデル化を果たしていくかを研究してきた。昨年度は文系の生徒についての研究を進め、その成果を日本数学教育学会の研究集会において発表を行ったが、今年度は、理系生徒の理解状況を分析する方向にシフトして研究を行った。具体的には、理系クラスの生徒に対する微分に関する理解度を把握する教材を基にテストを実施・分析し、その結果をJ.S.Brunerの表象の理論に基づいた認知発達の段階に区分することにより、学習理解の特性を明らかにした。昨年度調査した文系志望の生徒と比較して、理系生徒には数学記号や表記の習熟が早く、初学者にとっては抽象的と思われるような計算や演算についても習得が早かった。これは、「抽象から具体」へという理解の方向を示唆しており、いわば「習うより慣れよ」という指向性を感じさせるものである。これは、過去の筆者の研究において理系志望の生徒の特性として明らかになってはいたが、理解の順序が判明しつつある点で一歩進んだ成果と言える。今後はここに文系生徒の理解の段階との比較検討を進め、より文系・理系の生徒の特性の違いを浮き彫りにしたい。研究手法としては同一の数理モデルを提示して、理解度を時系列ごとに詳細に比較することを検討しているが、適切な教材の開発が課題である。