表題番号:2024C-272 日付:2025/03/11
研究課題境界条件付きラフ保存則方程式のkinetic理論の構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 登口 大
(連携研究者) 大同大学 教授 岡 康之
研究成果概要
境界条件付きラフ保存則方程式のkinetic解を得るために、BGKモデルと呼ばれる輸送方程式にスケールパラメータεを持つ摂動項を加えた非線形偏微分方程式がラフパスによって駆動される場合を扱った。決定論的な場合、BGKモデルにおけるスケールパラメータεを0に近づけることで、BGKモデルの解は保存則方程式のkinetic解に収束することが知られている。本研究では、有界領域においてラフパスによって駆動される状況下でも同様に得られるかどうかを確かめることを目的として考察している。収束性を証明するために、解の連続性が必要になることがわかってきた。そこで、本年度はBGKモデルの解の一意的な存在と時間に関して連続な関数の空間に属することを確かめるために時間を費やした。肯定的な結果を得ることに成功したので、これから論文にまとめて投稿する予定である。
一方で、ハイゼンベルク群における輸送方程式の研究も開始した。ハイゼンベルク群は量子力学の分野で用いられる重要な群であり、輸送方程式と併せて考えることで解明されていない性質を見いだしたいと考えている。こちらはハイゼンベルク群の扱いに詳しい大同大学の岡康之教授と議論をしている最中である。前者の研究と同様に保存則方程式のkinetic理論を目標にして進めていく予定である。