表題番号:2024C-271 日付:2025/04/10
研究課題統合型リゾート(IR)をめぐる諸問題
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 川田 泰之
研究成果概要
欧州のカジノと米国ラスベガスのカジノとを比較すると、前者には紳士淑女の社交場という雰囲気があり、ドレスコードは厳しく、未成年者が入場できないように注意深いIDチェックがあるのに対して、後者にはやや狂騒的な雰囲気があり、怪しい風体の者が大麻を吸う様子や、子連れの観光客が出入りする様子が散見された。わが国のカジノはどうなるであろうか。一方において、ラスベガスにおける主要な事業者の1つがMGM Resorts Internationalであり、MGMの日本法人らが出資する「大阪IR株式会社」が大阪IRの運営に携わることから、米国の影響は避けられないと思われる。ドイツにおいては温泉保養地の一要素としてカジノが存在しているが、IRが建設される夢洲には温泉もない。他方において、ラスベガスにおいてはホテルとカジノとが一体となっているが、大阪IRはそうではない。また大阪のカジノにおいては、IR整備法に基づいて、入場回数制限、厳格な本人確認、日本人らに対する入場料の賦課、入場者または家族らの申出による利用制限措置等が執られる。大阪IRが欧米どちら寄りの雰囲気となるか、注視したい。

ハワイ州は、ユタ州とともに賭博を禁止している(もっとも、ハワイアンがまったく賭博をしないかといえば、決してそうではない)。そこには、州となる以前から賭博を禁止していたこと、カジノを開設しなくても十分な来布観光客を見込めること、古いアジア系民主党員ら非常に保守的な勢力あること、ギャンブルには種々の弊害があること等の背景があった。そのような状況であるにもかかわらず、ハワイ州が「社交的ギャンブル」(social gambling:Title37, §712-1231)という例外規定を有していることは非常に興味深い。