表題番号:2024C-269 日付:2025/11/09
研究課題教室における本実験と関連付けられた家庭実験を活用した授業方法
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 小川 慎二郎
研究成果概要

【概要】「科学の有用性の理解」と「基礎知識の活用」を実現させるため、「講義前から講義後までを見通した授業方法の開発」を目的として、以下の3点を取り入れた探究的な学習サイクルを繰り返す授業手法を、Moodleを活用したSTEAM教育プログラムとして開発した。

1)家庭実験によって学習の動機付けをすると共に、物理学の有用性を認識させる

2)LMSを活用して生徒の考えを授業前に共有し、授業の精度を高める

3)探究的な学習の繰り返しによって探究能力を育み、得られた知識を活用する機会を持たせる

【背景】日本の科学教育の問題点として「科学の有用性が理解されていない」「基礎知識はあるが応用ができない」といった点が挙げられている。また、学校で学んだことを羅針盤としてその先の人生で活用する「生徒エージェンシー」の実現が重要視されてきており、学校の教室に留まらない学習機会を創出することで、科学そのものについての考えや、科学的思考の価値に気づかせることができる「STEAM教育プログラム」を実践する必要がある。

【成果】これまでの取り組みにおいては生徒一人ひとりに授業前に自宅で予備実験に取り組ませてMoodle上で報告させる仕組みを開発して来たが、その中で家庭実験の位置付けがまちまちであることが問題点として挙げられていた。本研究においては「探究能力の育成に直結する家庭実験と本実験の必然的な関係性を明らかにすること」に重点を置き、本実験と関連付けられた家庭実験や探究活動のリストを作成して試行し、中学3年生に配当されている力学の基礎的な分野についてのプログラムを開発した。

【課題】BYODの端末を生徒が活用して実験やその報告に取り組むことで、生徒自身の能力を向上させることができた反面、家庭実験の課題はまだ一定のレベルを保つことができておらず、課題のリストアップと検討を引き続き行うことが必要であることがわかった。